「え~、ここじゃなきゃダメ?
こんなに並ぶの俺的には初めての体験だし、何だか時間が無駄な気がする」
翔はそう言いながらスマホで他の店を検索する。でも、隣にいるミナに睨まれた。
「翔は私達に付き合ってくれる約束でしょ?
私達は、大好きな日本を楽しみたいの。沙羅が日本にいて、みんなで一緒に行きたいところに行く。
それに文句は言わせない」
ミナは本当に日本語が流暢だ。文句は言わせない!とか、アニメの主人公が使いそうなフレーズをしっかり自分のものにしている。
「はい、分かりました…」
翔はすぐに降参してスマホをしまった。沙羅は、そんな翔を見て楽しそうに笑う。
翔は少し離れて歩く沙羅を、自分のそばに引き寄せた。あまり離れてほしくない。仕事的にも個人的にも。そして、沙羅もさりげなく翔の腰に手を回す。もう二人は完全に恋人同士だ。
「沙羅、翔はお仕事でそうしてるんだからね。ボディガードに騙されちゃだめよ」



