三人は丸くエンジンを組んで、キャッキャッと久しぶりの再会を喜んでいる。沙羅はどういうわけか涙を流している。翔はあり得ないと心で呟いた。
翔はまだ車から降りず、そんな三人の様子を楽しんで見ていた。三人が落ち着くまでしばらく車の中で時間を潰す。
すると、急にウィルが運転席を覗き込んできた。
やだ、キャー、ウソ? え~!みたいなそんな奇声を発しているのが分かった。
「おはようございます。あ、そうか、初めまして。細谷翔です。
今日と明日、運転手として頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」
翔は車から降りて二人に挨拶をした。二人の刺さるような視線が痛い。特に、ミナは事情を全て把握しているような鋭い目つきで翔を見ている。
翔はそんなミナに笑って見せる。困ったように肩をすくめながら。
「ウィル、翔は沙羅の恋人なんだから、口説いても無駄だよ」
やっぱりそうか… そうだと思った。ウィルの瞳は可愛らしい乙女になっている。



