美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



 本来なら今日、事務所に車を返す予定の仁を、昨夜、ここまで来てもらったというわけだ。メンバーの中で一番温厚で優しい仁はブツブツ言いながら、それでもちゃんと持ってきてくれた。

「なんか噂で、翔がヤバイ事になってるって聞いたけど」

 仁がわざわざここまで車を持ってきた理由の一つに、絶対、翔へのひやかしがある。翔がどんな顔をしているか見に来たに違いない。

「ヤバい事って、どういう事?」

 翔はあえてそんな事を聞いてみた。そんな翔の反応を仁は面白そうに見ている。

「胸が苦しい~とか、あ~キスがしたくてたまらないとか、そんな感じ。
 クールで女の子には興味ないみたいな翔が、目がハートになってるんじゃないかって、皆がワクワクしてる」

「なんであいつらがワクワクするんだよ」

 翔は馬鹿らしくて笑った。でも、否定はしない。勘の鋭い仁の事だから、もう分かっているだろう。

「仁、ありがとう。わざわざ来てくれて」

 仁はもう一つの小さめの車に乗り換えて、このホテルを後にした。