美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



「おはようございます」

 沙羅はそう言ってリビングへ入ったけれど、翔はまだここには居ない。ここへくる途中、翔の部屋のドアが開いている事には気付いていた。でも、中を覗いたりはしていない。そこは翔の聖域だから。
 沙羅は冷蔵庫からフルーツとヨーグルトを取り出して、軽く朝食を済ます。今日は雲一つないいい天気。沙羅はショッピングへ行く事にした。思っていたより朝晩が涼し過ぎる。沙羅は明日からの観光旅行に備えて、色々と洋服を見てみたいと思った。

「おはよう…」

 少しだけ寝ぼけまなこの翔がリビングへ顔を出した。
 まさか、今起きた??
 翔の表情はそんな風に見える。ショートマッシュの髪型は後ろの方がちょっとだけはねていているし、まずは、まだ眠そうな顔をしている。

「コーヒー、飲む?」

 ちょうど沙羅はコーヒーを淹れている最中だった。もしかしたら、翔はこの香りに釣られて来たのかもしれない。

「飲みたい…」

 沙羅は、まだぼんやりとしたまま窓から空を見上げる翔を見ていた。