~二日目~
沙羅にとって、今日は特別に何か用事が入っている日ではない。
でも、明日と明後日は日本に滞在している友達と紅葉を観に行く約束をしている。
沙羅は観光する場所やスケジュールは全て友達に任せていたため、待ち合わせの時間とその場所くらいしか知らされていなかった。
でも、その事に翔からクレームが入った。
「ちゃんとどこに行くのか、何をするのか聞いてほしい」と…
昨夜、沙羅はメッセージを二人の友達に送ったけれど、まだ、二人から返信がない。
ミナとウィル。二人とも大学の時の友達。日本文化を専攻していた仲間だった。ミナは東京の大学院でアニメ文化について学んでいて、ウィルは東京に支店のあるアメリカ資本の会社で働いている。
ミナは流暢な日本語を話すけれど、いわゆる日本的に言えばオタクな人間で、週末はアニメの聖地巡りで忙しい日々を送っている。
そして、ウィルはトランスジェンダー、女の子の気持ちを持つ男の子。ミナも沙羅もウィルも、心底日本が大好き。だから、三人はすぐに親友になった。
沙羅が龍也君に会おうと思ったのも、一つはこの二人が日本に居るからだった。龍也君にも会いたいけれど、それ以上にこの二人に会いたかった。
沙羅は久しぶりの再会に、今から心が躍っている。



