美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



「俺は散歩がてら歩いて帰ろうかな。沙羅もお迎えの車なら心配ないし」

 翔はそう言うと、テーブルの近くにいるスタッフを呼んだ。会計をと目で合図すると、スタッフは首を横に振る。その仕草でもう会計が済まされている事が分かった。
 翔が沙羅の身体的なボディガードなら、ホテルの支配人は生活全般を任された下僕といったところだ。沙羅の父親がどれだけの大金持ちか分かる。
 でも沙羅は?? マジで普通の女の子にしか見えない。

「沙羅、急いだほうがいいよ。また支配人に怒られるから」

 翔はそう言って楽しそうに笑った。先々、その支配人と沙羅の取り合いになりそうで、でも、それはそれで楽しみだった。

「私も歩いて帰りたい…
 東京の夜景を見ながら、東京の夜の空気を味わって歩きたい」

 翔は沙羅のそんな言葉にため息が出た。もうこれ以上、支配人と揉めたくないのに。