翔は沙羅の真っ赤になった顔をずっと見ていた。心から可愛らしいと思ってしまう。そして、そんな想いと同時進行で意地悪を言いたい自分もいる。
翔はそんな自分を分析してみた。
可愛いから色々とちょっかいを出したい。そういう行動は、皆、子供の頃に体験済みで、大人になったらそんな意地悪な気持ちは抱かない。でも、翔は今、お子ちゃま真っ盛りだ。そういう体験をしてこなかったのだからしょうがない。
翔は可愛い沙羅を見つめながら、そんなくだらない事を考えていた。
「あ、あともう一つ…
もし、龍也が沙羅の事を本気で好きって言って来たら?
沙羅はどうする?
沙羅のパパやうちの社長は、沙羅が取引の材料に使われる事を心配してる。
俺達が共有している龍也の情報では、確かにその可能性が高い。
だけど、俺は、逆にそっちの方が単純で対処しやすいと思ってる。
龍也が沙羅の事を本気で想ってれば、やりにくくなるし、面倒くさい。
沙羅の気持ちが龍也にあるなら、なおさら、超面倒くさい。
そこは大丈夫だよね?」



