「だって、龍也君に会うために日本へ来たんだから。
もう約束しちゃったし、龍也君もそのために東京まで出てきてくれてるのに。
本当は、やっぱり会いたい。
私が初めて好きになった人に会いたいって思う気持ちは止められない…」
沙羅はこんなにムキになる自分が可笑しかった。本当は龍也君の事はどうでもいいのに。
「そいつが危険な人物でも?」
翔は不機嫌そうにそう言った。いつもの可愛らしい瞳が狼のような鋭い目つきに変わっている。
沙羅はあまり深く考えずに大きく何度も頷いた。
たったの一週間だけど、翔に近くにいてもらいたい。そんなわがままな気持ちが先に立って冷静ではいられなかった。
翔はそんな沙羅を見つめながら、大きくため息をつく。
「だったら…
そいつと会ってもいいけど、好きにだけは絶対にならないでほしい。
色んな意味でその方がいいからさ…」
「うん、分かった…」



