「紅茶自体、飲んだ事がないかもしれない。
俺の生活に紅茶というものが存在してないんだよね。飲むのはコーヒーばっかりだし。
でも、飲みたい!
紅茶も飲めないようじゃ、大人の男性っていえないしね」
沙羅は微笑んでOKと呟く。そんな沙羅の何気ない仕草さえ、翔は目が離せられない。
翔は沙羅がお茶の準備をしてくれている間、ゲストルームを確認しに行く。沙羅のいる主寝室とは廊下を隔てているけれど、そんなに遠い距離ではない。その部屋は、ツインルームとなっていてバストイレも完備されていた。
翔はそれだけを確認して、沙羅の待つリビングへ戻った。
テーブルの上には、お洒落なカップ&ソーサーが二客並んでいた。そして、大きめのティポットはキルティングのカバーが被せてある。
「どうぞ、座ってください」
翔は沙羅に言われるまま、大理石でできたダイニングテーブルの真ん中の席に腰かけた。
翔が席に着くと、沙羅はティポットのカバーを外し翔のカップにオレンジ色のいい香りの紅茶を注ぎ入れる。そして、お皿に並べたクッキーとビスケットも持ってきてくれた。
「うちのパパの家系はイギリス人なの。パパはアメリカの国籍だけど人生の半分はイギリスで育ってる。だから、私はブレイクタイムといったら、コーヒーより紅茶が多いんです」



