美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



 そして、翔は一度沙羅の部屋から出て行く。隣の護衛専用の部屋に入るためだ。海外の超一流ホテルにはたまにこういう施設が完備されている。
 でも、翔はこういう部屋に入る事は、今回が初めてだった。ちょっとだけ嬉しい。いや、かなりワクワクしている。確か、事務所のメンバーでこういう部屋を使った事のある人間は社長の唐澤だけだ。翔は他の事務所のメンバーに細かく伝えるため動画を撮る事にした。その件でホテルの方からNG等の指摘をされてはいない。
 入り口のドアはVIP仕様の客室のドアと同じものだ。翔はそのドアを開けてみた。

「お~~~」

 翔は来年の一月で27歳になるけれど、根本的な性格はかなりおこちゃまだと自分でも自覚している。こういう少年心をくすぐるような仕掛けがたまらなく好きだ。
 まずはドアから入ると、普通のホテル仕様の玄関スペースがある。そして、またドアがある。そのドアを開けてみると、細長いリビングルームが一部屋あるだけだった。廊下や仕切りは一切省かれている。リビングとしての機能しかない部屋だ。沙羅の部屋とつながっている壁はマジックミラーとなっていて、隣の部屋のリビングから廊下にかけて見渡せる仕様になっていた。