そんな事を言いながら、部屋全体を見回し他の部屋の位置などを確認する。それはプロの仕事人としてやるべき事。だけど、そういう素振りは一切見せず、楽しそうに沙羅の隣に座った。
「沙羅はこんな立派な部屋に泊まる事って普通なんだよね?」
翔は沙羅の様子を見ながら、そう聞いた。
「でも、ちょっと違う。いつもは家族と一緒だから。
私、今回は一人だから普通のシングルルームで全然よかったんだけど、パパがダメって。
こんな広い部屋必要ない。
寂しいだけだよ…」
沙羅はそんな意外な事を隠さずさらりと言ってしまう人。翔の中で、沙羅への好感度のポイントが増すのが分かった。
「あ、あなたは?
どこに泊るの? そういえば、さっき忍者部屋がどうとか言ってたけど」
「翔でいいよ。
翔って呼んで。
偽物でもそういう仲にならなきゃ、沙羅を守れないから」
沙羅は少しだけ赤くなる。沙羅という存在は、翔にとって、意外な事だらけだ。



