美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



 沙羅は東京の景色を見ながら、アメリカにいる母に日本に着いたとメッセージを送った。すると、すぐにスマホの着信音が鳴り始める。

「ごめんなさい、母からなんだけど、いいですか?」

 沙羅は日本人ぽく翔への気配りを見せる。翔はハンドルを片手で操作しながらOKと笑顔で答えてくれた。

「ママ、今、車の中だから、また後でゆっくり電話するから」

「ボディガードの人の車?」

「うん」

 母は母なりに娘の事を心配しているのだろう。でも、すぐに、どういうわけかビデオ通話に切り替わった。

「沙羅、その人をさりげなく映して」

「え~、無理だよ」

「さりげなくでいいから。この間、マイクにその方の写真を見せてもらってびっくりしちゃったの。
 すごいイケメン! ねえ、実物はどんな感じなの?」

 沙羅は自分の母なのに切なくなった。こんな会ったばかりの時間に、それって今必要なの?
 沙羅はまず、ビデオに自分の不機嫌な顔を映す。