翔はチケットカウンターで変更の手続きをしている沙羅を離れた場所から見つめていた。
今日のこの時間を過ぎれば、翔の沙羅を警護するという任務は終わる。でも、沙羅が日本にいる限り、いや、生きている限り翔の警護は終わらない。愛する人が世界的に有名な実業家の娘という事に変わりはなく、仕事としての任務とは別に力強い保護本能に抗えるわけがなかった。きっと、これは永遠に続く。沙羅を愛し続けるという事は、間違いなく運命なのだから。
「沙羅、ちょっと俺に付き合ってほしい、いい?」
翔は車に沙羅の荷物を積み込みながらそう聞いた。
「うん、いいよ」
沙羅は無理に笑顔を作ってそう言ってくれた。
翔としては、沙羅のやり切れない気持ちが痛いほど分かる。沙羅の家族の事は無視をして、二人でただ欲望のまま突っ走る事だってできるけれど、翔はそうはしたくなかった。
沙羅の穏やかな笑顔を、もっと言えば素直で正直な性格を失くしたくない。沙羅のオリジナリティはこの家族と環境の上に成り立っている。沙羅が大切に思うものは、沙羅が思う以上に大切にしてあげかたった。自分は二の次でいい。そんな風に考える事自体、自分でも驚きだけれども。



