「翔、後で連絡するから、ちょっとだけ待ってて。
すぐに終わらせるから」
マイクはそんな沙羅と翔のやり取りをジッと見ている。沙羅はそんなマイクの視線を感じて、マイクをつい睨んでしまう。
「沙羅、怖いよ」
マイクはそう冗談を言うと、奥の部屋へ向かって歩き出す。沙羅は翔に目配せをしてパパが待つ部屋へ向かった。そんな時、翔が沙羅に軽くお辞儀をしたのが、沙羅の視線に何となく入った。何だか一気に気持ちが切なくなる。沙羅はそんなブルーな気持ちを振り払い、マイクの後を追った。
「パパ…」
沙羅はパパの顔を見た途端、どういうわけか涙が溢れ出した。色々な想いが交錯している。龍也君の事も思い出した。龍也君の過去にパパの存在が関わっているのだとしたら、それはそれですごく悲しかった。
それより、パパの顔を見てホッとしている自分がいた。沙羅のホームグラウンドはアメリカで家族が何よりも大切だという事を痛いほど実感している。
でも、それでも、涙が止まらない。この涙の理由は翔の事だけ。翔を心から愛している。ただ、それだけをパパに伝えたかった。



