翔は子供みたいにはしゃぎながら、助手席のドアを沙羅のために開けて待っている。
沙羅はすごく困惑していた。
こんなお友達みたいな軽いノリのボディガードなんて見た事がない。
沙羅が席に腰かけると、翔はすぐに運転席に座った。よくよく観察すると、翔は瞬時に周りの状況を確認している。それも素早く鋭い目つきで。その一瞬の狼のような視線に沙羅は恐怖さえ感じた。
「じゃ行こうか」
車は軽快に動き出す。BGMは日本のアイドルソング?みたいなもので、翔はアップテンポな曲に合わせて体でリズムを取っている。
「あ、それと、今回のコンセプト聞いてる?」
「コンセプト?」
沙羅は首を横に振りながらそう聞き返した。
「とりあえず恋人同士って事かな。
そういう関係の方が物事が動きやすいし、俺も沙羅の近くにいた方が安心だから」



