美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



「翔、あまり怖がらなくてもいいからね。
 普段はすごく優しいパパなの。
 私にはほとんど怒った事なんてなくて、いつもニコニコ笑ってる。
 だから、翔の事も絶対に好きになってくれる。
 だって、私の愛する人なんだから」

 スーツケースをゴロゴロと押す音がうるさい中、沙羅はどうしてもその事を翔に伝えたくて、大きな声でそう言った。翔は何となく口数が少ない気がした。でも、それは、きっとパパに会うから緊張しているのだと、沙羅はあまり深く考えないようにしていた。
 国際線のVIP専用ラウンジは沙羅にとって馴染みの場所だった。日本に帰省した時は、この空港のこのラウンジをいつも家族で利用した。個室感覚のプライベートルームは1LDKの居住空間となっていて、シャワールームもトイレもキッチンまで完備されていた。
 そして、そのラウンジの前へ着いた時、沙羅は翔の手を引いて、壁際にある自動販売機に隠れるように翔を引っ張り込んだ。