美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



「翔はのんびりしてていいよ。パパの事は私に任せて」

 翔は顔をクシャとして困ったように愛想笑いを浮かべる。その表情だけで、沙羅に何も言う事はしない。沙羅もそれ以上は何も言わなかった。
 二人にどんな未来が待ち受けているのか、まだ何も知らない。でも、それに立ち向かうのは沙羅一人だと思っている。
 沙羅は翔に微笑みを返すと、すぐに朝食の準備を始めた。何気ない日常をなくしたくない。

 空港へ着くと平日だというのに国際線ターミナルは賑わっていた。今の日本はインバウンドの影響で外国からの観光客が増え、空港内は日本人より外国人の方がはるかに多い。沙羅はそんな人の多さにうんざりしながら、でも、自分自身には気合を入れる。
 沙羅と翔は指定された空港内ラウンジへ向かった。VIP専用ラウンジの中にあるプライベートルームで沙羅のパパは待っている。
 沙羅は大きなスーツケースを持って移動をした。もし、アメリカ行きの飛行機に乗るのならカウンターでチェックインすればいいのだけれど、沙羅は全くそのつもりはない。翔はそんな沙羅のことを何も言わずに好きにさせてくれていた。