沙羅は部屋のキーを開ける。この部屋とも明日の朝にはお別れだ。沙羅は部屋に入った途端、翔に抱きついた。
「沙羅、飲み過ぎたんじゃないか?
まずは水を飲まなきゃ」
翔は沙羅を優しく抱きかかえてリビングまで歩き出す。沙羅は翔の首元に顔を埋めて、小さく深呼吸をした。今夜を最後にしたくない、二人は永遠に一緒に居られると、自分の心に言い聞かせる。
翔は沙羅をソファに座らせ、すぐに冷たい水を持ってきてくれた。
「ユリアはめちゃくちゃ酒が強いから、それに釣られて結構飲んだんだろ?
ユリアの周りの人間は、いつもそのパターンで潰れるから」
「七海とか?」
沙羅は楽しそうにそう質問した。
「七海は自ら飛び込んでるって感じ。ユリアに好かれるために必死だから」
沙羅はユリアと七海の会話を思い出し、つい笑ってしまう。七海がユリアに惹かれるのはよく分かった。沙羅の目から見てもユリアは魅力的だった。優しさの中に強さが見える。沙羅自身が目指している女性像そのままだった。



