沙羅はそのごめんねの意味が分からない。
翔は更に強く沙羅を自分の元へ引き寄せる。
「あんな訳の分からない食事会に、沙羅を付き合わせて」
沙羅は思い切り首を横に振った。
「すごく楽しかった! 翔の事をよく知れたし、七海もユリアも仁さんも、皆、いい人でほとんど初対面の私にすごく親切にしてくれた」
「それは当然だよ。。
沙羅は俺の大切な人だろ?
それを、俺の仲間はちゃんと分かってる」
沙羅はホテル内を歩きながら、翔の腰にしがみついた。好きで好きでたまらない。沙羅はそんな尊い感情にまた泣きそうになる。
「翔、私…」
沙羅はそう話し始めて、でも、すぐに止めた。自分の中で答は決まっている。それを翔に伝えたくてたまらなかった。だけど、きっと、そのタイミングは今じゃない。
「ううん、何でもない…」
沙羅はそうやって小さな声で呟いた。明日、沙羅はパパに伝えたい事がある。それは翔には関係のない事。沙羅自身の問題で沙羅のファミリーの話だから。
そして、翔もそんな沙羅の話を追求して聞く事はしない。今のこの時間を大切にしたい。それは二人とも同じ思いだった。



