「だろ?
でも、しょうがないよ。君のお父さんの絶対的な条件だから。
可愛い娘が危険な目に遭う事を異常に恐れてる。
だから、娘のプライバシーより安全の方を優先ってわけ。
俺もそれ聞いた時、監視カメラとかで十分な気がするんだけどって、社長に掛け合った。
でも、却下。クライアントの意見は絶対だからさ」
沙羅は自分の父の考えている事にげんなりする。
でも、一つは沙羅がSNSに画像を拡散してしまった事が原因だ。その事を思うとその父の条件を受け入れるしかなかった。
「まさか…
同じ部屋? そんな事はないですよね?」
そんなの絶対に嫌だ…
翔のフェロモンは強力な効果を発揮している、今現在もクラクラするくらいなのに、同じ空間で過ごすなんて翔の事が気になって眠れたもんじゃない。
「そうなんだよね~
でも、今回のホテル、ちょっと凄いらしい。
まだオープンして三か月くらいだから、俺もよく知らないんだけど、デラックススウィートルームがかなりヤバいんだって。
いわゆる今回の俺達みたいな人のために作られた空間で、その中に昔風に言うと忍者部屋みたいなからくり施設があるらしいんだ。
あ、もちろん、俺はその忍者部屋に泊まるんだけどね。
なんか、ワクワクが止まらない。ごめん、一人で盛り上がってて」



