沙羅は翔が用意をした車を見て、少し驚いた。
いわゆる映画に出てくるような、ボデイガードの人達が好んで乗っているそんな頑丈な車じゃなかったから。
そこに止まっている車はセダンタイプのBMWではなく、シルバーグレーのミニだった。3ドアタイプで、でも、沙羅が街でよく見かけるミニとはちょっと違う。それは護衛用として新たにカスタマイズされたものだ。
翔はバッグドアを開け、沙羅のスーツケースを奥にしまい込む。
その時、沙羅はもっと奥の方に大きなメタル系のスーツケースが積んでいるを見つけた。
「あのスーツケースは?」
翔は肩をすくめうなだれる。そして、目を細めて沙羅の方を見た。
「俺の今回の任務は、大切なクライアントを100%の態勢で守ること。
ということは、君をホテルの中でも監視しなきゃならない。
だから?
俺も君と同じホテルの部屋に泊まる」
「え~~~」
翔は大きな声で笑った。それもすごく楽しそうに。



