翔はホテルへ着くと、すぐにシャワーを浴びた。一度、ゆっくりと頭を冷やしたかった。もう頭の中は沙羅のことでいっぱいだ。それも沙羅を抱きたいという、その事ばかり。
 翔は冷たい水を浴びながら、冷静な自分を呼び戻す。でも、もはや、そんな自分はもうどこにもいなかった。恋に溺れる愚かな男とは俺の事だ。翔はそんな事を考えながら、一人シャワールームでうなだれていた。
 シャワールームから出ると、部屋中が甘い香りでいっぱいだった。翔の大好きな匂いだ。それはきっと沙羅の匂いで、翔を跪かせるほどの強力な力を持っている。
 翔はソファにもたれている沙羅の隣に座った。まだ髪も濡れている状態なのに、沙羅にキスをし始める。沙羅を感じていないと、頭がおかしくなりそうだった。沙羅も翔のキスをすぐに受け入れてくれて、二人は楽しそうにもつれ合った。でも、沙羅は急に何かを思い出したようにあっさりとキスを止めた。

「そういえば、さっきから翔のスマホが何度も何度も鳴ってた。
 もしかしたら、急用かもしれない」