奥のソファでスマホゲームをしていた翔は、唐澤から呼ばれ、しょうがなくゲームを終わらせた。
 翔はオフィスを見回してみる。メンバー六人中、四人が在籍しているのに、自分が呼ばれた事に少し落ち込んだ。
 翔の中で掲げているテーマは完璧な仕事をすること。でも、あまりガツガツは働きたくない。特に、お気に入りのゲームを見つけてそれに夢中の時は。

「どんな依頼ですか?」

 翔は唐澤のニヤついた顔を見て、嫌な予感がした。

「え~ またボディガード?」

 唐澤はニヤついた顔のまま、翔の前にファイルを投げる。

「今回はかなり報酬がいい。
 オリエンタルハイグループのオーナーから直々の依頼だ」

「オリエンタルハイグループっていえば、ホテル経営で世界で五本の指に入る大手ですよね?」

 唐澤は楽しそうに大げさに頷いた。
 翔は目の前にあるファイルを手に取って、そこに映っている女性の画像をめくって眺める。

「この女性は?」