美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



「え? そうなの?」

 沙羅は細いくねくねした道に少し不安を覚えていた。人家どころか何も見当たらないこの場所は、本当に観光地なの?
 翔は車のナビとかほとんど見ない。地図が頭の中に入っているみたいで、ただただ自分の勘だけをたよりに進んでいる。

「仕事以外で、例えば、風景が綺麗な場所とか、マイナスイオンたっぷりの滝の近くとか、星がよく見える丘とか、そんなデートスポットみたいなところ、ほとんど行った事がないんだよね。
 興味がないし、そういうシチュエーションになる事もなかったし。
 だから、沙羅って本当に凄いよ。
 そんな俺をこんな場所に導いてるんだから」

 沙羅は褒められているのか何なのかよく分からない。でも、こんな田舎の道を翔は楽しそうに運転しているのは確かだった。

「翔は、絶対にモテたはずだから、たくさんデートとかしてるでしょ?
それじゃ、デートとかはどういう場所に行ってたの?」

 ゴトゴトと車は舗装されていない道を走り出す。沙羅は本当にこの道で合っているのか、どんどん不安になってきた。