美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



 沙羅は運転をする翔の顔をずっと見ている。どれだけ見ていても飽きないし、ずっと永遠に見ていられる。
 沙羅は翔がどこへ向かっているのかよく分かっていなかった。もともと、日本の地図なんてあまり知らないし、翔からも綺麗な森としか聞いていない。沙羅は翔と一緒に居れるのなら、場所はどこでもよかった。
 自分が精神的に不安定なのはよく分かっている。だからこそ、翔の存在に頼り切っている自分がいる。翔の事が好きで好きでたまらない。今は、ただ自分の気持ちに素直になって、この二人だけの時間を楽しみたかった。
 車は高速道路を進み、そして、静かな田舎の街に入っていく。しばらく道なりに走っていると、もう人家さえ見当たらなくなった。車はどんどん森の方へ進んで行く。

「あと、もう少しで着くと思う」

 翔は細くなっていく道を上手に運転しながらそう言った。

「平日だから観光客も少ないと思うよ。ていうか、俺も初めて来る場所だから、もしかしたら迷ってるかもしれない」