「ちょっと気分転換をした方がいいのかなって、少し思ってる。
昨夜の龍也君の出来事が、心の奥の方へまだ消化できてなくて…
龍也君のお母さんがどうして死んでしまったのかって考え出すと、心臓がドキドキし出して身体が震え出す。
翔と一緒にいたら、その気持ちがふっと軽くなって、前向きになれる気がするんだけど、でも、一人になったら龍也君の子どもの頃の顔が浮かんできて、胸が苦しくなるの」
翔はそんな沙羅を優しく抱きしめた。
確かに、たった一日で色々な事があり過ぎた。龍也の存在を大切に想っていた沙羅にとって、昨日、聞かされた真実は、かなりの衝撃だったはず。
そんなすぐに立ち直る事なんてできない。特に、誰よりも優しい心の持ち主の沙羅ならなおさらだ。
「じゃ、ドライブしようか?
東京近郊には綺麗な場所がまだまだたくさんあるから。
海にする? それとも山の方?
沙羅が行きたい場所に行こう。どこでも付き合うよ」



