「沙羅のお父さんって、どういう人間が好き?」
「人間?」
キスに夢中の沙羅はキス以外の事はあまり考えたくないらしい。だから、キスは止めずに何か必死に考えている。
「とにかく仕事ができる人。頭の回転が速いっていうか…」
「じゃ、問題ないな」
翔はキスをしながら笑った。
今、この瞬間、もうこれ以上の余計な会話は必要ない。キスをして抱きあってまたキスをする。そんな大切なひと時は時間に限りがあった。沙羅のお父さんがやって来るまでのこの一日を大切にしたい。
「沙羅、今日のこの一日、どうやって過ごしたい?
俺はボディガードとして、何でも付き合うよ」
沙羅は翔の腕の中からするりと抜け出し、翔の顔をジッと見つめた。その顔は何となく沈んで見える。



