美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



 到着ロビーから駐車場へ向かう間も、翔はニコニコしながら沙羅に話しかけた。

「さっきの女の人はどうしたの? 具合が悪そうに見えたけど」

 沙羅は隣を歩く翔の顔を覗き込む。

「見てたんですね」

「はい、それも僕の仕事ですから」

 沙羅は翔のハスキーな声に心地よさを感じていた。完璧な容姿なのに、少しざらざらの声。翔の魅力はギャップという意外な一面。この声をずっと聞いていたいなんて、沙羅の本能が戸惑っている。

「さっきの女性は、普段はお酒に酔わないのに、飛行機の中だったせいかかなり酔っちゃったみたいで。
 飛行機の出口ドアを出たあたりで、うずくまっていたんです。
 皆、見ないふりをして通り過ぎて行く中、私はそれができなくて一緒に行動してただけ。
 旦那様が迎えに来てるって聞いて、その人のいる場所まで付いていかなきゃすごくふらついてから」

 翔は沙羅の歩幅に合わせて歩いてくれる。優しく頷きながら。