美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



「本来は日本へ寄る予定はなかったけど、昨日の事があって急遽予定を変更したらしい。
 今回、オーナーの警護は必要ない。空港内で用事を済ませるということだ。
 翔は沙羅ちゃんの警護にあたっているわけだから、そこに関しては必要以上にしっかりやれ」

 翔は了解と返事をした。

「翔…
 ま、俺の方にもお前のいろいろな噂が耳に入るけど…
 俺にとって、翔の心とか気持ちなんてどうでもいい。
 とにかく、A&Wの看板を背負ってる事を忘れるな、いいな」

 翔は鼻でフッと笑った。

「普通にしますよ。
 俺にとっての普通は完璧ってことなので」

 今度は唐澤が鼻で笑う。

「心配はしてないよ。俺が一番、細谷翔という人間をよく知ってるから」

 唐澤はそんな褒め言葉を残して、電話を切った。
 翔は外の空気を肺一杯に吸い込んだ。不思議な事に、昨日から翔の五感は研ぎ澄まされている。頭が冴え過ぎているというのか、いつも以上に攻撃的でもあり、人間らしくもあった。
 そして、翔が中へ戻ると、沙羅がリビングのソファに座っていた。