翔はベランダに出て、唐澤に電話をした。唐澤は二回コールしただけで、すぐに電話に出てくれた。
「遅いぞ、翔」
「しばらくスマホを見てなかったので、すみません」
数秒、沈黙がある。
「翔にしては珍しいな…
調子はどうだ? いつもの翔なら問題ないけど」
そんな唐澤の一言に嫌味を感じてしまう。でも、翔はいつも通りに返事をした。
「はい、大丈夫です」
昨夜、翔は沙羅への想いを素直に認めた。でも、まだ任務の最中で恋人と過ごす時間が仕事になっている。それは完璧に乗り切るつもりだった。でも、父親が来るなんて想定外だ。
「明日の夜に沙羅ちゃんは帰国する予定は変わりない。
お父さんの方は同じ時間帯の飛行機でシンガポールへ向かうらしい。
娘の無事な姿を確認したいということだ」
「わざわざそのために日本へ寄るって事ですか?」



