ただただ、沙羅を抱きしめたい。それだけで十分だろ?
翔が中に入ると、沙羅はキッチンに立って紅茶を淹れる準備を始めている。
「沙羅…
まずは先に身体を休めなきゃ…
温かいベッドで眠った方がいいよ」
沙羅は背中で翔の言葉を聞きながら、それでも手を止める事をしない。
「ううん、こんな時だからこそ、リラックスしたいの…
カフェインの入ってないルイボスティーにするから。
身体を休めるにはまず心を休めなきゃ…
私もそうだけど、翔にもリラックスしてほしい」
翔は後ろから沙羅を抱きしめる。沙羅の優しい心が愛おしくてたまらない。
「沙羅…
マジで、俺の方がまいってるかもしれない…
沙羅の温もりを感じていないと、頭がおかしくなりそうだ…」
沙羅は手を止めて翔の方へ向き、そして、両手を大きく広げて翔の身体を抱きしめた。それは、まるで母親が小さな子供を包み込むように、ただひたすら愛情しか感じられない。沙羅の柔らかい肌から伝わる温もりは、幼かった頃の翔の記憶を呼び起こす。



