必死に抑えてきた感情が、いますぐにでも爆発したがっている。
翔は窓の外に見える高層ビルの夜景に目を向けた。とにかく、今はこの感情を鎮めるしかない。
「沙羅、しばらく眠った方がいい。
着いたらちゃんと教えるから…」
翔は本当にそう思った。きっと、今の沙羅は心の糸が張りつめている。その糸を緩めてあげたい。翔の肩に頭を乗せて翔を見つめる沙羅を、もう一度強く抱き寄せる。
「しばらく目を閉じよう…
俺もそうするから…」
沙羅は翔を見て優しく微笑んだ。そして、静かに目を閉じる。翔はそんな沙羅を見守って、自分自身も目を閉じた。翔の中で荒れ狂う猛獣を少しでも手懐けるために。
タクシーの中から見覚えのある海辺の景色が見えてきた。東京のウォーターフロントは本当に美しい。海沿いに立ち並ぶビル群を見て少しだけセンチメンタルになる。隣で静かに眠っている沙羅の存在を肩越しに感じて、変わってしまった自分にため息をついた。



