「それは龍也が一方的に言ってる事だろ?
沙羅の両親にもちゃんと話を聞かなきゃダメだよ。
本当は龍也が言ってるような事じゃないかもしれない。
沙羅のお父さんとお母さんを信じてあげて。
今の俺はそんな事しか言えないけど…」
沙羅は翔の肩に顔を埋めて、静かに頷いた。今はあまり考え過ぎないようにしたい。翔をこれ以上困らせたくない。
「翔、本当にありがとう… 無事で、生きていてくれて…」
沙羅は翔の腰にしがみついた。翔の温もりが唯一の癒しだった。翔が好きで好きでしょうがない。沙羅の感情は完全に自制心を失っている。
翔を好きという気持ちだけで自分自身が壊れそうだった。
「沙羅…」
翔はそう一言囁いて、沙羅の顔を自分の方へ引き寄せる。
沙羅を見つめる翔の表情に色々な葛藤が見える。でも、怖いくらいに力強くて優しい眼差しだった。翔は涙で濡れている沙羅の頬を静かに指で拭うと、小さくため息をついた。そして、ほんの少しだけ微笑んで、沙羅に優しくキスをする。沙羅はそのキスに必死に答えた。



