美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



 翔は沙羅をタクシーに乗せドアを閉めると、その後、タクシーの運転席の方へ行って何か話している。沙羅は自分だけ先にホテルへ帰されるのかもしれないと思い、ドアを開けて外へ出ようとした。すると、すぐに翔が中へ入ってきた。

「俺も一緒に帰るから大丈夫だよ…」

 タクシーの後部座席に二人は並んで座った。でも、翔が隣にいても、まだ沙羅の中で不安な気持ちが渦巻いている。必死に気にしないふりをしていても、感情の昂りは中々治まらない。気が付くと、沙羅はギュッと拳を作って何度も息を整えている。極度の緊張状態から解放されたはずなのに、まだ現状に心が追い付かない。
 今日の出来事は、全部、自分が蒔いた種だった。あの時、龍也に会う事を諦めていれば、翔は危険な目に遭わずに済んだし、龍也だって、警察に捕まる事はなかった。冷静になればなるほど、沙羅の感情はぐちゃぐちゃになる。時間が経つにつれて、後悔で押しつぶされてしまいそうになる。

「沙羅、自分を責めるなよ…」