沙羅が泣き疲れて後部座席で横になっていると、外がざわざわと慌ただしくなる。
「犯人は、今、パトカーに乗ってこの場所からいなくなった。
翔さんももうすぐしたら戻ってくるんじゃないかな…」
タクシーの運転手は横になっている沙羅に気遣ってそう言ってくれる。沙羅は小さな声でありがとうと返した。
翔を待つ間にも、アメリカにいる両親や兄から代わる代わるメッセージが入った。沙羅は一人一人にちゃんと返信をした。特に、翔の事務所のクライアントになるパパには、とにかく自分は無事で元気でいる事と、そして、ボディガードの翔が身体を張って自分を守ってくれた事をしっかりと伝えた。沙羅が翔のためにできる事はこれくらいしかない。
沙羅は身体を起こして、髪や洋服を整える。翔がそろそろ戻ってくるのなら元気な姿を見せたかった。
外はもう真っ暗で、さっきまでパトカーの明かりのせいで人が集まっていたけれど、今は、関係者が数人いる程度に落ち着いている。
沙羅は店から少し離れた駐車場に停めたタクシーの中から、店の方をジッと見ていた。



