龍也は翔のそんな話をまばたき一つせずに聞いている。その表情は危険人物と言われる人達によく見られる蛇のような不気味さだった。
そんな龍也の目を盗んで沙羅は翔の方へ行こうとした。でも、正面に立つ龍也に邪魔されてしまう。
「沙羅ちゃんは俺に尽くしてもらわないとならない。恋人として、家族として。
そして、死ぬまで俺に寄り添って俺の事だけを愛して死んでいく。
それがこれから先の沙羅ちゃんの人生なんだ。
それくらいの事をして償ってもらわないと…
だって、俺の母さんは沙羅ちゃんに殺されたんだから」
「そ、それは、無理だよ…
その話はまた別の機会にでも」
沙羅は必死に冷静を装いながら、龍也にそう訴える。でも、龍也の意思は変わらない。子供の頃から思い続けた執念はちょっとやそっとじゃ形を変えない。
龍也が沙羅の手を握って、自分の方へ引き寄せた。その時、入り口の方であの仲間と思われる男の店員がドアを閉めようとする。



