「翔!」
沙羅は立ち上がり、翔の元へ行こうとする。でも、すぐに龍也も立ち上がり、沙羅の行く手を塞いだ。
「あの邪魔しないでもらえます?」
翔は龍也の顔をはっきりと見る事できた。画面越しには分からない普通とは違う威圧感が漂っている。でも、ビジュアルは一般的な年相応の男性だ。どちらかというとモテるタイプだろうなと想像がつく。
翔はそんな龍也にも笑顔を絶やさない。
「え? 沙羅から聞いてないですか?
僕が迎えに来るってことを」
翔はそう言いながら沙羅にこっちへおいでと目配せをする。
「龍也さんの話は沙羅からちゃんと聞いてます。
恋人としては、他の男性に会う事をよくは思わない。もちろん、僕も含めてですが。
でも、沙羅にとって龍也さんとはとても大切な存在らしく、再会してたくさんの思い出話をしたいというので、だったら、一時間で終わらせてほしいとお願いしました。
龍也さんからしたらいい気持ちはしないと思いますが、僕的にもこれが精一杯のことなんです」



