美魔男の完璧な仕事に心が溺れる

 

 沙羅は最後の龍也の言葉にすぐに反応をした。それまでは龍也のお母さんの死に対して自分を責めているように見えていたけれど、今は違う。

「龍也君…
 私は龍也君とこうやって再会したけど、でも、それは子供の頃のお友達としてで…
 お友達としてのお付き合いはできるけど、それ以上の関係は…」

 沙羅がまだ話している最中なのに、龍也は沙羅の手を取り優しく撫で始める。完全に自分の世界に入っている。

「沙羅ちゃんの気持ちは今は関係ないんだ。
 俺と一緒にいれば、必ず俺のことを好きになるから」

 翔は店員がデザートを個室に運ぼうとしている事に気付き、すぐにその後を追った。その間にも二人の会話が聞こえてくる。龍也は沙羅をこのまま帰さないつもりだ。
 今、前を歩いている女性店員が何かを指示されているかもしれない。翔はトイレに行くふりをして様子を窺った。まだ個室に鍵はかかっていない。

「龍也君、ごめんなさい…
 私、そんなつもりでここへ来たわけじゃないの…」