「沙羅ちゃんの家の人が俺達の家族の事を調べて、それで俺は沙羅ちゃんと遊べなくなった。近所の人達にも俺達に近づかない方がいいって、皆に話して回った」
「…そ、それは、私のおばあちゃん達?」
龍也は沙羅の動揺ぶりを見逃さない。沙羅の質問にも正直にオブラートなしに答えた。
「俺達の家族の事を徹底的に調べたのは沙羅の父さんだと思う。
その話を町の皆に知らせたのは沙羅のおじいちゃんやおばあちゃん、もしかしたらお母さんもそうだったかも。ある日を境に、俺の事を悪魔の子どもを見るようなそんな目つきになったから。
悪い噂はあっという間に広まって、俺の父さんに仕事を教えてくれてたおじさんだって悪者扱いにされて、その人達はその場所を追い出されるように離れていった。
俺の父さんは、確かに昔は悪い事をしていたけど、今はちゃんと反省をして真面目にやり直して生きてるんだ、だから何も恥じる事はないって、俺や母さんにはそう言ってたけど。
でも、母さんは繊細な性格だったから、ふさぎ込んで家から出れなくなった。父さんもお金を稼ぐために家を離れる事が多くなって…
そしたら、ある日の朝、目を覚ました俺は母さんがいない事に気付いて…
家中、捜したら、お風呂場で… 死んでた…」



