「きっと、龍也は沙羅を妖精か天使かと思ったんだ。
だから、子ども心に強烈に残っている。龍也の知っている世界とは全く違う世界からやって来た、とびきりに可愛い女の子としてね」
「龍也君のお父さんは悪い人だったの?」
沙羅は、翔のはっきりしない表現方法にいい加減うんざりしていた。
「かなり…」
沙羅は鼻の孔を開いて大きく息を吸った。そして、だから?と翔を睨み返す。
「私が会いたいのは龍也君だから、お父さんは関係ない。
龍也君はそんな男の子じゃないよ。私の知っている限りだけど、今はちゃんとした会社で働いてるし、子どもの頃だってすごく優しくていつもニコニコ笑ってる子だった。
お父さんに闇はあるのかもしれないけど、それで龍也君の全てを決めつけないでほしい」
沙羅はただ子供の頃に大好きだった友達に会いたいだけだった。龍也に再会できるなんて夢のようだって、ずっと思っていた。それはたくさんの偶然が重なり合って導かれた尊い奇跡だと思っている。
それに何も知らない翔に龍也の事を悪く言われるのは、沙羅にとっていい気持ちはしない。
「じゃ、一つ提案していい?」



