「ていうかさ、みくる?
私のお父さんが(元)芸能人だからって、
そんなに気にしなくてもいいんだよ?」


今はもう芸能人じゃなくてただの父親だし。


「……いや!あのね?
実は……あたし蓮司さんが初恋なの!」

「………はい?」

「いや、あれね?
子どもの頃ね!?
大人になるにつれて『あーこの人は手の届かない人なんだー』って諦めついたけどね?
小さい頃は、一番好きだった人だから…」


『ついご機嫌うかがっちゃうの!』と顔を赤くして言うみくる。


………え…みくるの初恋の人、私のお父さん…?


「あのー…みくるごめんね。
あぁ見えて、お父さんってお母さんにベタ惚れでね」

「いやわかってるわかってる!
恋愛したいと思ってるわけじゃないから!」

「ならいいけど」


父親が娘の同級生と泥沼不倫とか嫌だからね。


「ただ、“いい子”に映りたいなってだけ」

「あーそういうこと!
大丈夫。もう“いい子”だって思ってるよ」


みくるが友達で、お父さんも喜んでたしね。