「……え?」

「これは、鈴原に似てるなと思って取ってきた」

「……え、似てる?」

「似てる。
かわいい容姿だけど、このムスッとしてる表情が。
鈴原、あんま笑わねーからさ」


このうさぎのぬいぐるみ、たしかにムスッとしてるけど

……私、そんなに笑顔の印象ないんだ…;


「だからこれ、鈴原にあげる」

「えっ?」

「うさぎは嫌い?」

「嫌いじゃないけど…」

「じゃあもらって。
鈴原にあげようと思って取ってきたから」


『諸々のお礼も兼ねて』とぬいぐるみを渡してくる。

『あんまり笑わない』と思われてるのは心外だけど、

ムスッとしてるうさぎのぬいぐるみはかわいくて、


「ありがとう。
めっちゃ可愛がるね」


自然と頬が緩んでしまった。


「!(笑っ…!)」

「あ、でもこれ抱きかかえて歩くの恥ずかしいね」

「……さっきまで俺がそんな思いしてたんですけど?
(すぐいつもの顔に戻った)」


たしかに。佐々木くんが持ってるよりか恥ずかしくないか。


ぬいぐるみを抱いてると、佐々木くんからすごく視線を感じて…


「……え、私の顔になにかついてる?」


顔を上げて聞いたら、佐々木くんは


「え、あ、いや!なにも!」


挙動不審か?ってくらい視線を泳がせたあと、パッと顔を逸らした。


……なんだったんだろ。

変な佐々木くん。