「さっき、殴って投げ飛ばしてすみませんでした!!」


喫茶店で席に着くなり、頭を下げるみくる。


「いや、大丈夫だよ。僕も悪かったから。気にしないで」

「はいぃぃ…すみません!!」


お父さんは気にしないでって言ってるのに何度も頭を下げる。

みくるのこんな姿が見れるなんてレアで、私は嬉しくてクスッと笑った。


「お父さんのおかげでみくるの新しい一面が知れたから、そこだけはお父さんに感謝してる」

「“だけ”とはなんだ!?」


それ以外は勝手に娘の学校に来て完全に不審者だと思われてただけだもん。感謝すべきとこは一つもない。むしろ迷惑だ。


「えと……その、それで、あの…」


なにから聞こうか悩んでるのか、チラチラと私とお父さんを交互に見るみくる。


「なんでも聞いていいよ」

「いいの?
本当はあたしにもバレたくなかったんじゃ…?」

「勝手に顔バラしたのはお父さんだから、
別に大丈夫」

「日菜は厳しいねぇ…」