社長さんにジロ、と睨まれた。
『初恋の子を諦めてこんなのが彼女?』って声が聞こえる気がする…;
「この子が初恋の子なので」
「……は?」
「やっと実ったんで」
「侑真アンタ…
その顔で純愛してたのか」
「“その顔で”ってどういう意味ですか」
「そうだぞ社長!
侑真くんはこう見えていい子だ!」
お父さんが侑真くんを褒めた…つもりだろうけど、『こう見えて』は余計かな…。
侑真くんちょっとショック受けてる…。
「しかも蓮司の娘にゾッコンとは、世間は狭いな。
さすがに蓮司のとき、嫁と娘を隠すのに苦労したからな…
侑真を引き入れて彼女を隠すのに苦労させられそうだから諦めよう」
脚を組み直した社長さんは『おい蓮司』とお父さんを呼んだ。
「……なんですか」
「今日おまえの奢りな」
「なんでですか!!」
『来るんじゃなかった!』と怒るお父さんに
私はつい、笑ってしまった。
「……おい、娘に笑われてるぞ?」
「え…もしかして日菜…僕の不幸が嬉しい…?」
「そういう意味じゃないよ!」
そうじゃなくてさ。



