「俺はべつに、日菜に傷付けられたことなんて…」
「約束を…!……破ってしまった。
二度も…」
「……二度?
約束って…?」
「1つは、『また明日遊ぼう』って約束。
もう1つは、『結婚しよう』って約束…」
「………え…」
「私、一度忘れてしまったから…
だから…約束を、破ったも同然…」
ごめんなさいとまた頭を下げようとした時
グイッと腕を引っ張られ、
ぎゅうっと強く、侑真くんの腕に抱きしめられた。
「………好きだ」
「侑、真く…」
「間違えてなんてなかった。
酔って具合が悪そうだった日菜に声をかけたこと、かわいいと思ったこと、日菜を好きになったこと…
全部、俺がずっと、なーちゃんを好きな証だった」
侑真くんの口ぶりで
私が『なーちゃん』だったことに気付いたんだとわかった。
「……侑真くん…
……ゆーくん…っ」
「あぁ、そうだよ。
俺がゆーくんだよ」
抱きしめられて、顔は見えないけど
侑真くんの声が嬉しそうなのはわかる。



