「はぁ…はぁ…」
「どっか教室入った?」
「じゃあ1つずつ探すだけだろ」
ドアを閉めたけど、廊下から声がする。
もう逃げられない、と思った瞬間。
「この教室になんか用?」
先にA組の教室にいた男の子が、私を隠すように前に出て、
ドアを開けて廊下の男の子たちに冷たく言い放った。
「春白の女の子来なかった?」
「悪いな、それ俺が呼んだ子だから。
取込み中だから他あたって?」
ドアをバタンと閉めると、すぐに鍵をかけて遮断した。
……あ、でも鍵をかけられると私が出られないんだが…
「あの…私、ここに行ってって言われたけど
男の子に呼ばれたわけでは…」
私の前に立つ男の子は、黒髪だ。
そんな知り合い、いないと思ってたのに。
「……俺が呼んだんだよ。
英二と杉原さんに協力してもらってさ」
そう言う声は、とても聞き慣れたもので。
「………未練がましくて、ごめんな」
振り返って私を見つめるその顔は
間違いなく、私が探してた侑真くんだった。



