お母さんが出ていった後、
少し眠ろうと思ったら、リビングから声が聞こえた。
……会社の人、本当に来たんだ。
そこまで気になる声量でもないので、おとなしく眠ることにした。
───…
『うわぁーーーん…!!』
『日菜、泣かないで』
『…ひながやくそくやぶったから…っ
──……くんはひなのことキライになったんだぁ…っ』
『──ごめんね。
ごめんなさい…日菜……ごめんね…』
───……
………トントントン。
「………」
眠っていたはずなのに
キッチンの方からわずかに聞こえた音に反応して目が覚めた。
……なにか、夢を見ていたような気がする。
夢の内容は曖昧で、全部は思い出せない。
ただ、たぶん小さい私が大泣きしてたことは覚えてる。
……そんなこと、昔あったような……。
………思い出せないや。
どのくらい眠っていたんだろうと時計を見たら、午後2時を少し過ぎた頃。3時間ほど眠っていたみたい。
薬を飲むためにお昼を食べないといけないので、体を起こしてキッチンに向かった。



