「………い、……な」

「………」


「……おーい、日菜」

「………へ?」


突然私の視界に手を振りながら私の顔を覗き込む侑真くんが現れて、ぼんやりしてた頭が覚醒した。


「どしたの、さっきからボーッとして。
俺の話聞いてる?」

「あ……ごめん聞いてなかった」


今日も一緒に下校して

一緒にいられるのもきっとあと少しなのに…

せっかくまだ一緒にいられてるのにボーッとしてるなんてもったいないことをしてしまった。


「なんだった?話って」

「いや、もういいよ。大したことじゃないし」

「……あ…ごめん…」


侑真くん、怒ってる…?

付き合ってるのに話も聞いてくれないのかと、呆れられたんだと思って俯く。

侑真くんになんて言われるか、怖くて目線を上げれないでいると。


「あ……ごめんっ
怒ってるように聞こえた?」

「……」

「日菜は悪くなくて!
俺がつまんない話したのが悪いだけだし!
だからその……日菜に怒ってるわけじゃないから、そんな落ち込まないでほしい」