「あー…もしかして、彼に惚れちゃった?」


冗談混じりに聞いてみると

女の子の頬がわかりやすくポッと赤く染まった。


「あ…か、カッコいいなって思いました!」

「顔は、カッコいいもんね」


所詮顔だけで好きになったんだろうと、皮肉を込めて『顔は』って強調した。

けど女の子はそれが皮肉だなんて思いもせず、『そうですよね!』と返してきて、私のほうが気まずくなる。

……私、嫌な女だな…。


「顔がカッコよくて一目惚れしたのはたしかなんですけど…


でも、わたし今日始めて彼を見たわけじゃないんです」


「……え?」

「同い年なことも知ってました。


だって、前にも会ったことがあったので」


ニコッと照れくさそうに笑う女の子を見て


──ドクン…と私の心臓は嫌な音をたてた。