私たちは、兄弟だったんだ。
言いたいことはたくさんある。
『兄弟だからって理由で、終わっちゃう恋だったんだ。』
『じゃあ兄弟として仲良くなろうよ。』
『兄弟、とか関係あるの?』
でも、そんなの答えはわかりきっている。
翔斗が全て正しい。
間違っているのは、私の方だ。
誰も何も言わない。
時間だけがすぎていく。
翔斗の激しい息遣いが伝わってくる。
教室の外は、まだ賑やかだ。
中にいる全ての人が、まだ何も喋らない。
みんななりの配慮なんだって、わかる。
ありがとう、みんな。
でも。
本鈴が鳴った。
先生が入ってくる。
ほとんどが自分の席にいないのに、先生が怒鳴った後みたいに固まって静かになっている状態に困惑している。
先生が言葉を発するか否かのその瞬間、私は走り出していた。
元々持ったままだった鞄を抱えて。
12月。
マフラーもタイツも、ダッフルコートも着ていない私は、ただひたすらに走っていた。